10月4日は「素十忌」
10月4日は、大正から昭和時代にかけて活躍した俳人であり医学者でもあった高野素十(たかの すじゅう)の忌日である「素十忌(すじゅうき)」です。
俳句の世界において、素十忌は秋の季語としても親しまれています。また、素十の戒名(山王院金風素十居士)や秋の風を意味する言葉にちなんで、「金風忌(きんぷうき)」とも呼ばれる特別な日とされています。澄んだ秋風が心地よく吹き抜けるこの日に、自然の美しさをありのままに詠み続けた素十の足跡を振り返ってみてはいかがでしょうか。
医師と俳人、二つの道を生きた高野素十
1893年(明治26年)に茨城県の美しい田園地帯で生まれた高野素十は、東京帝国大学医学部を卒業した優秀な医学者でした。法医学教室に入局後、先輩であった俳人・水原秋桜子の勧めで句作を始めたといわれています。
高浜虚子に師事した素十は、虚子が提唱した「客観写生」や「花鳥諷詠」の精神を極めて忠実に実践しました。昭和初期には、実力派俳人として以下の4名で「ホトトギスの四S(エス)」と称され、俳壇に大きな存在感を示しました。
- 水原秋桜子(みずはら しゅうおうし)
- 山口誓子(やまぐち せいし)
- 阿波野青畝(あわの せいほ)
- 高野素十(たかの すじゅう)
素十は新潟医科大学や奈良県立医科大学で教授を務め、医学の発展に尽力する傍らで数々の名句を残しました。『初鴉』や『雪片』などの代表句集には、日常の何気ない風景や自然の息遣いを静かに見つめる、独自の観察眼が息づいています。
「素十忌」のおすすめの過ごし方
秋が深まり始める10月4日は、素十の句のように身の回りのささやかな自然に目を向けて過ごすのがおすすめです。忙しい日常から少し離れて、心を落ち着かせる時間を楽しんでみませんか。
たとえば、近所の公園や並木道をゆっくりと散歩し、秋の草花や木々の葉の移ろいをじっくり観察してみるのも素敵です。色づき始めた落ち葉やふと通り過ぎる心地よい秋風をそのまま言葉に書き留めてみるだけでも、立派な「客観写生」の一歩となります。素十の句集を片手に秋風(金風)を感じながら読書に親しむのも、この日ならではの風情ある過ごし方といえるでしょう。
まとめ
10月4日の「素十忌(金風忌)」は、医学と俳句の双方に真摯に向き合い、自然のありのままの姿を大切にした高野素十を偲ぶ日です。
日々の慌ただしさの中で見落としがちな小さな季節の変化にも、素十のように優しいまなざしを向けてみると、いつもの景色がより豊かに見えてくるかもしれません。ぜひ心地よい秋のひとときを、五感で味わってみてください。

医師を続けながら俳句界を代表する存在になった高野素十の生き方を知り、秋風を感じながら散歩してみたくなりました。

