企業分析のためのテンプレート
株式投資で「割安な優良企業」を見つけたいと思っても、実際に企業分析や財務分析を一からやるのは相当な手間がかかります。ですが、もしそれを効率的に、しかも精度高くこなせるテンプレートがあったらどうでしょうか?
企業ごとに情報を標準化・テンプレート化しておけば、分析のスピードが格段に上がるだけでなく、他社との比較もスムーズになり、投資判断がグッと明確になります。
とはいえ、ゼロから自分でまとめるのは面倒……そんな方には、証券会社が提供している財務分析ツールの活用がおすすめです。中でもGMOクリック証券の財務分析ツールは、高機能かつ無料で使える優れもの。口座開設だけで誰でも使えるので、分析テンプレートと組み合わせれば、プロ顔負けの企業分析が可能になります。
ちなみに私は、基本的に「一生持ちたい銘柄」しか買わないので、株価の短期的な動きはあまり気にしません。それでも、こうした基本を押さえておくことで、損をしない確率は確実に上がります。
「効率的に儲ける人」は、情報を味方につけるのが上手な人。
今こそ、あなたの投資スタイルをレベルアップさせてみませんか?
企業分析のテンプレート
分析のテンプレート
まずは四季報から企業の基本情報をピックアップして、ざっくりと整理していきましょう。
すべてを完璧に埋める必要はありません。自分にとって必要な項目だけを取捨選択する柔軟さが大切です。必要ないと感じた情報は、遠慮なく省いて構いません。
このステップをテンプレート化しておけば、企業ごとの比較も圧倒的にしやすくなり、投資判断の質が大きく変わってきます。
【URL】
【決算】
【設立】
【上場市場】
【特色】
【連結事業】
【成長率】
【IPO】
【業種】
【仕入先】
【販売先】
【本社】
【従業員数】
まずは四季報やIR情報、証券口座などから以下の情報を収集して記入しましょう。例えばこんな感じです。
項目 | 内容 |
---|---|
企業名 | 〇〇株式会社 |
URL | https://example.com |
決算期 | 3月 |
設立年 | 19XX年 |
上場市場 | 東証プライム等 |
業種分類 | 情報・通信業 等 |
特色 | 例:クラウド関連SaaSで急成長 |
連結事業 | 国内XX%、海外XX%など構成比率 |
成長率(売上・利益) | 前年比+20%など |
IPO(上場年・初値) | 20XX年、〇〇円 |
主な仕入先 | 〇〇株式会社、比率など |
主な販売先 | BtoB/BtoC などの内訳 |
本社所在地 | 東京都港区〇〇 |
従業員数 | 〇〇〇人(連結含む) |
投資判断
【買い】か【売り】か【保留】。これらを導くために分析していきます。なれてきたら実はこんなテンプレは必要なくなります。
理由を端的に記述(例:「割安かつ成長性あり」「競争激化により慎重判断」)
企業分析
企業分析は、3Cと呼ばれる「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つを使うことでマーケティング環境を抜け漏れなく把握できます。
【3C分析による企業環境評価】
①市場・顧客(Customer)
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市場規模・市場の成長性(年率成長率、トレンド等)
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顧客層の特徴(BtoB / BtoC、年齢、地域、用途等)
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消費者の購買動機・季節性など
②競合(Competitor)
-
主な競合企業名と比較(売上高、利益率、シェア等)
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競合に対する優位性や劣後点の洗い出し
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競合が参入しにくい障壁(特許、ブランド、供給網)
③自社(Company)
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強み(技術、ブランド、営業力)
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弱み(資本力、経営体制、採用力)
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経営資源の活用状況(ヒト・モノ・カネ・情報)
市場・顧客の分析
企業が持続的に成長するためには、拡大が見込める市場で戦っているかどうかが重要な判断材料になります。市場の規模や成長率、将来的な需要の変化などを確認し、その市場が今後も伸びていくかを見極めましょう。
あわせて、その企業の主要な顧客が誰なのか――法人なのか個人なのか、消費者ニーズやトレンドの影響を受けやすい業界かなども分析の対象です。顧客層の安定性や成長性を掴むことで、売上の先行きも見えてきます。
競合分析
成長が期待できる市場には、当然ながら競合も多数参入してきます。ヒット商品や成功事例はすぐに模倣されるのが常です。だからこそ、同業他社と比べて、その企業がどこで優位に立てるのかを把握することが重要です。
売上や利益の伸び率、シェアの推移、ビジネスモデルの差別化ポイントなど、数字と戦略の両面から多角的に比較分析していきましょう。
投資先詳細
最重要項目となります。ここに時間をかけて分析します。
経営者
「企業は人なり」とよく言われるように、企業の成長力はトップの資質に大きく左右されます。マイクロソフトのビル・ゲイツやMeta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグのように、時代を動かす企業には、必ず強いビジョンと実行力を持ったリーダーが存在します。
そのため、投資判断においては経営者の経歴や実績、自社株の保有比率などから、その人物がどれだけ企業の成長にコミットしているかを見極めることが重要です。トップの本気度は、企業の未来を映す鏡でもあります。
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経営者の略歴(学歴・経歴・過去の実績)
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株式保有比率とインセンティブ(自社株比率)
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経営方針や発言内容の一貫性
事業内容
どんな事業を行っているのか。経営を多角化しているのならば、リスク分散はどれほどしているのか。相乗効果がある事業展開をしているのかなど。
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主力事業と収益構造(セグメント別売上・利益)
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多角化の有無とその意義(補完性・相乗効果)
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中期経営計画や成長戦略の実現可能性
業績
過去5年程度の売上、営業利益、経常利益、当期純利益、配当金、EPSなどから総合的に判断します。純利益を見ることなどにより企業の体力、内部留保を推測できますが、基本的には増収増配するか否かで投資先を決定します。
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売上高・営業利益・経常利益・純利益(過去5期)
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EPS、BPS、ROE、ROA、自己資本比率
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営業キャッシュフロー、設備投資額、配当政策
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増収・増益・増配傾向の有無
競争優位性の確認
競合企業に勝っている点はどこか、そこを強化すればどのように発展するかを分析します。
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技術的優位性(特許数・独自技術)
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ブランド力や顧客のスイッチングコスト
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ネットワーク効果・スケールメリット
事業運営上のリスク
仮に、災害が起きた場合などリスクに対してどれほど持ちこたえるのか、またはリスクそのものを分析します。
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マクロリスク(円高、原料高、法改正等)
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業種特有リスク(業界再編、需給変動等)
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財務リスク(借入過多、為替リスク等)
成長戦略
企業の発表している成長戦略の今後の実現可能性を分析します。
【外部情報の活用】
企業分析レポート
野村、SMBC日興、楽天証券などの証券会社がだしている無料証券レポートがあれば確認しておきます。アナリストの評価・目標株価もひとつの指標になります。
社員・元社員の口コミ
カイシャの評判やOpenWork、転職会議などを使って、社員や元社員の口コミを調べるのもいいかもしれません。所詮顔もわからない匿名制なので信憑性は定かではありませんが、経営がホワイトなのかブラックなのかを判断する一助にはなります。
株価に影響を与える要因
株式投資の基本は「安く買って、高く売る」こと。では、どの銘柄が将来的に値上がりするのかをどう見極めればよいのでしょうか。
実は、株価を動かす要因は一見すると無関係に思えるような事象にも潜んでいます。まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」のことわざのように、予想外の出来事が特定の業種や企業に追い風となるケースも少なくありません。
たとえば、原材料価格の高騰が代替素材を扱う企業の追い風になったり、法改正が一部業界の需要を急増させたりすることもあります。こうした思考の飛躍ができるかどうかが、他の投資家との差を生むポイントです。
「一見つながりがなさそうな事象が、どんな企業に恩恵を与えるか?」
常にアンテナを張っておきましょう。
株価情報
基本的な株価の情報を記載します。
項目 | 内容 |
---|---|
株価 | 円(年月日現在) |
出来高 | 株 |
予想EPS | 円 |
PER | 倍 |
PSR | 倍 |
時価総額 | 億円 |
需要と供給のバランス
信用買い残と信用売り残のバランスは、市場の需給関係を読み解く上で重要なヒントになります。買い残が多ければ将来的な売り圧力につながりやすく、逆に売り残が多ければ買い戻しによる上昇余地があるとも言えます。
また、この段階で仕手株の可能性がないかも確認しておきましょう。仕手株とは、一部の投資家やグループが意図的に株価を急騰・急落させることで相場を操る銘柄のこと。短期的に大きく動くこともありますが、情報の裏付けがない限り、安易に手を出すのはリスクが高いといえます。
冷静にデータを見極め、投資判断に活かす姿勢が大切です。
項目 | 内容 |
---|---|
発行済株式数 | 万株 |
浮動株数 | 万株 |
信用買い残 | 株 |
信用売り残 | 株 |
貸借倍率 | 倍 |
買いが多ければ株価は上がり、売りが多ければ株価は下がります。
売買シナリオと計画
投資はロボットのように機械的に進めると成功しやすいです。
エントリーポイント
〇〇〇〇〇円
1 利食いポイント
〇〇〇〇〇円、〇%上がったら利確しよう。
2 損切りポイント
〇〇〇〇〇円(投資可能額の1%、10%の株価の下落率など自分ルールを設定します。)
結局、お金持ちは損切りが上手い人がなれます。
株取引はいかに勝つかではなく、いかに負けないかが重要。
【売買シナリオと計画例】
エントリーポイント
1,800円を下回ったら買い
利食いポイント
2,200円(+20%)で利益確定
損切りポイント
1,600円(-10%)で損切り
取引後の振り返りも忘れずに
株式投資は、取引が終わってからが本当の学びの始まりとも言えます。勉強において復習が欠かせないのと同じように、投資でも「売買後の振り返り」は、次の判断精度を高めるうえで極めて重要です。
たとえば、売却後に株価がどう動いたか、利確・損切りのタイミングは妥当だったかなどを確認し、チャートとセットで記録しておくと、自分の判断の癖や改善点が見えてきます。
株価推移の記録(売却後)
記録日時:
株価:
出来高:
予測EPS:
PER:〇倍
PSR:〇倍
時価総額:〇円
こうした記録をルーティン化することで、経験が積み上がり、投資判断がブレにくくなっていきます。将来の自分の“資産”になるデータとして、丁寧に残しておきましょう。
まとめ
株は情報を丁寧にまとめた人が稼げます。企業分析は一見手間がかかるように思えますが、「共通の型」に落とし込むことができれば作業は大幅に効率化されます。比較対象を可視化することで、投資判断の精度も高まります。ぜひ本テンプレートを活用して、勝率の高い投資活動を目指してください。ちまちまとメモを取るなどの勉強も大切です。

「丁寧な情報整理が、未来の利益に直結する!」