10月12日は「コロンブス・デー」
1492年10月12日。
イタリア生まれの航海者・クリストファー・コロンブスが、スペイン王室の後ろ盾を得て西の海へと乗り出し、ヨーロッパ人として初めてアメリカ大陸に到達したとされる日。それが「コロンブス・デー(Columbus Day)」の由来です。
コロンブス・デーとは?アメリカでは10月第2月曜日の祝日
もともとは「10月12日」に固定されていたこの記念日ですが、1970年から施行された「月曜休日統一法(Uniform Monday Holiday Act)」により、現在のアメリカでは「10月の第2月曜日」に祝われています。
多くの州では祝日扱いとなっており、銀行・郵便局・一部の学校が休業となる地域も。まさにアメリカでは秋の風物詩的な祝日として浸透しています。
なぜ「コロンブス・デー」が制定されたのか?
コロンブスが目指したのは、アジアの富と交易の地・インド。しかし、地球の丸さを信じて西へ向かった彼がたどり着いたのは、カリブ海のバハマ諸島付近。これをインドと誤認し、彼は生涯その事実を疑いませんでした。
結果として、アメリカ先住民は「インディアン」と呼ばれるようになり、その誤解は後世にまで影響を及ぼしています。
「コロンブス・デー」が見直されている理由
21世紀に入り、アメリカではこの祝日のあり方に対する見直しが進んでいます。
というのも、「新大陸発見」という偉業の裏には、先住民族への征服・差別・略奪の歴史があるためです。
そのため、一部の州や都市では「コロンブス・デー」を廃止し、「先住民の日(Indigenous Peoples’ Day)」として新たな祝日に置き換える動きが広がっています。
【先住民の日を導入している主な都市・州】
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カリフォルニア州バークレー
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ロサンゼルス
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サンフランシスコ
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シアトル
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デンバー
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ミネアポリス
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アラスカ州アンカレッジ など
スペインでは「イスパニア・デー」として祝賀
コロンブスの航海を支援したスペインでも、10月12日は特別な意味を持つ祝日。
「イスパニア・デー(Fiesta Nacional de España)」として国民の祝日となっており、マドリードでは軍事パレードなど盛大な式典が毎年行われています。
これは、スペインがラテンアメリカ諸国への影響力を拡大していった歴史を象徴する日でもあります。
コロンブス・デーとスポーツの日が重なる年も?
日本の「スポーツの日(旧・体育の日)」は、同じく10月の第2月曜日に設定されているため、アメリカの「コロンブス・デー」と同日となる年もあります。
このようなカレンダーの一致は、国際間の祝日事情に詳しい旅行者やビジネスパーソンの間で注目されることも。
【過去と未来のコロンブス・デー】
年度 | 日付 |
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2016 | 10月10日(月) |
2017 | 10月9日(月) |
2018 | 10月8日(月) |
2019 | 10月14日(月) |
2020 | 10月12日(月) |
2021 | 10月11日(月) |
2022 | 10月10日(月) |
2023 | 10月9日(月) |
2024 | 10月14日(月) |
2025 | 10月13日(月) |
豆知識:記念日は「誰の視点」で祝うかが問われる時代
「コロンブス・デー」は、長年“新大陸発見”という肯定的な文脈で語られてきましたが、現代ではその光と影の両面を考察する必要があります。
「発見」とは、誰にとっての出来事だったのか?
その問いを胸に、歴史の節目に向き合う記念日として、より深い意味を持たせていくことが求められています。
「発見」の裏にある歴史も見つめよう
「コロンブス・デー」は、新大陸の発見という偉業を記念する一方で、そこに暮らしていた先住民にとっては侵略の始まりでもありました。現代においては、その両面を正しく理解し、歴史を多角的にとらえる姿勢が求められています。

コロンブスの“発見”は、誰かの“喪失”でもあった──歴史はひとつの視点では語れない。