12月20日は「デパート開業の日」
1904年12月20日、日本初のデパート形式での営業が始まりました。この日は、東京・日本橋にあった「三井呉服店」が「三越呉服店」と改称し、従来の呉服屋からアメリカンスタイルの百貨店への転換を宣言した日として記念されています。
デパート開業までの経緯
三越呉服店の誕生
この日に三井呉服店は「三越呉服店」として新たなスタートを切りました。新方針として、アメリカで成功を収めていた「デパートメントストア」の営業形態を取り入れ、衣服や装飾品を中心に幅広い商品を扱う店舗を目指すことを明言しました。この取り組みは日本における百貨店の始まりとされ、後に「デパートメントストア宣言」と呼ばれる画期的な試みでした。
アメリカンスタイルの導入
この新形態は、呉服屋の枠を超え、「何でも揃う店」を目指したものでした。実際、1905年元旦には全国主要新聞に全面広告を掲載し、「三越呉服店」の新しい理念を広く知らせました。
「三越」の名称の由来と建物の特徴
名称の由来
「三越」の名前は、三井家の「三井」と、創業時の屋号「越後屋」を組み合わせたものです。
当時の建物
三越呉服店が使用していた建物は二階建ての日本商家風でしたが、この時期から近代的な設備と品揃えで進化を遂げていきました。
「デパート」と「百貨店」の意味
デパートの語源
「デパート」という言葉は、英語の department store を短縮した和製英語です。英語圏では「デパート」という呼称は使用されません。
百貨店の由来
「百貨店」は「百」(多くの)「貨」(商品)を扱う店という意味です。日本では、三越呉服店が「百貨店」という業態を初めて導入したとされています。
三越の現在
現在、三越は老舗百貨店として「株式会社三越伊勢丹ホールディングス」の傘下にあり、その象徴である日本橋本店は1935年に竣工し、国の重要文化財にも指定されています。日本初の百貨店として、その歴史と伝統は現在も多くの人々に親しまれています。
「デパート開業の日」の意義とその影響
日本の小売業界への影響
「デパート開業の日」は、日本の商業史において重要な転換点となりました。百貨店の誕生により、衣料品だけでなく、雑貨や家具、さらにはサービスの提供まで、多様なニーズを一つの店舗で満たすことが可能になりました。
文化の象徴としての百貨店
三越のような百貨店は、単なるショッピングの場を超え、日本の近代化を象徴する存在となりました。また、百貨店がもたらした「おもてなし」の文化は、現在の小売業やサービス業にも受け継がれています。
まとめ
「デパート開業の日」は、百貨店という新しい業態が日本に根付き、私たちの暮らしや文化を豊かにした歴史を振り返る日です。この記念日を通じて、伝統を重んじつつも、革新を恐れない挑戦心の大切さを思い起こしてみてはいかがでしょうか。
リンク:三越伊勢丹ホールディングス、日本橋三越本店